第35回全日本躰道選手権大会
(2001年11月23、24日実施)
今回の実戦競技の参加は団体実戦での出場となった。結果は二回戦敗退だった。来年度はこの上を目指して頑張って行きたい。
さて、今回の実戦を見た感想だが、ある程度の技に限定されて攻防が展開していると感じた。どんな技に限定されているかというと、斜状蹴り、旋状蹴り、突き技、大体この3種類だろう。これらの技は出し易いし、審判もよく技を取ってくれるのでついつい使いがちになってしまう(私もそのようになりがちだが…)。このままいくと法形の中だけしか他の技を出せないようになってしまうのではないだろうか。競技のルール上なかなか難しいところも有るかもしれないが、もっと色々と他の技を(例えば手技が極端に少ないのでもっと増やすべきだと思う)出せるようにしていかなくてはといけないのではないだろうか。
そう考える中で今回印象に残った試合は、自分のチームのAさんが見事な捻技を決めてくれた試合と、準々決勝での試合であった。Aさんの捻技は側転からの捻技だったのだが、相手が側転をかわそうとして臥せた所に豪快に捻技が決まり一本勝ちになった。あのような綺麗な捻技はなかなか見ることが出来ない。私もこのような捻技が出来る様にこれから稽古していきたいと思う。
準々決勝の試合はどんな決まり手だったかと言うと、相手がソバットを出した瞬間に背後に回り込みそれを抱えて下に落として突きを決めると言う、あまりにも見事な展開だった。このような投げ技が今後増えていってくれたら試合展開が新しいものに変化してくれるのではないかと思う。
それから運足についてだが、今回の試合を見ていて運足を使えている選手は、自分も含めて殆どいないように感じだ。大体の選手が歩法がステップ気味になっていた。そしてそこから技を繰り出していた。これでも技が相手に当たればポイントをくれるのだから審判もいい加減なものだなと思う。そのくせ「運足、運足」と口うるさく言うのだからどうも変なものだ。審判の質はもっと向上させていってもらいたい。
法形競技は個人戦で今回は出場させてもらった。これも結果は二回戦負けだった。個人的には少し足を痛めている中で二回戦に駒を進める事が出来たけ良しとしようと思う。やはり法形は先生に指導して頂かないと、個人ではなかなか難しい。才能のある人間ならば話しは別だが自分の様に下手な人間にはすぐに限界がきてしまう。法形は嫌いではないがこれから上達するには積極的に先生に指導してもらうべきだと感じた。
さて、感想の方だが最近のルールは1・2回戦が転体、三回戦が変体、4回戦以降自分の自由となっている。何故このルールになったのか知らないが、何度も前の感想に書いている様に、これでは他の法形がなおざりになってしまっている。そして、二段蹴りの二回目の蹴りが出来ていない選手が沢山見うけられたし、変体の法形の足絡みからの前蹴りが胴ががら空きの選手が今回も見うけられた。
どう考えてもルールの弊害が出てきたとしか言いようが無い。そして転体はバク宙捻りが出来ないと話しにならない状況になってきた。これでは益々ルールの弊害が出てくるのではないかと思われる。バク宙捻りを尻餅をつかずに出来ている選手は年々増加している。これはとても良い事だと思う。しかしこれに力を注ぎすぎた結果その他の法形が駄目になってしまっては元も子もなくなってしまうのではないだろうか。これはあくまでも個人的な考えだが、どうも旋体運体の法形は甘く考えられているのではないかと考える。もっとその辺りの事を協会側はよく考えてもらいたい。
今回の全日本躰道選手権大会が終わって2、3日後に祝嶺正献最高師範がお亡くなりになった。これから躰道は一体どうなるのか全くわからない状況になってきた。下手をすれば躰道が無くなってしまう危険性さえある。私が思うことの一つに、どうして最高師範が元気なうちに、教本等を出さなかったのであろうか。これがあれば100%とはいかないまでも正しい躰道の基本が身につけられたのにと思う。
協会は何故このような努力をしないのか。選手達に色々と文句を言う前に先ず自分達が行動すべきなのではないだろうか。