第33回全日本躰道選手権大会
(1999年11月27、28日実施)
私は今大会の団体実戦競技に、先方で二番と言う役割で出場した。
一回戦の相手は宮城県Aチームだった。
私は何とか得意の運体飛燕突きで一本勝ちをしたものの、満足のいく内容ではなかった。
確かに試合に勝利し、チームが勝ったことはうれしい。しかし私は対戦相手に押されており、たまたま運よく勝ったようなものだったからだ(特に二回戦は完全にそうである)。
試合の内容はというと、相手の運足に押され私は後ろに下がってばかりいた。いつもの様に待ちの作戦だったのである。よく自分から攻める様に言われるのだが、全く攻められなかった。相手の水平蹴りや旋状蹴りも何発か食らっていた。
相手の突き蹴りを刃物と考え、如何にそれを素手の状態で制するかと言う事を、もっと頭の中に入れてこれからの練習に励んでいかなければならないと感じた。
それから、ビデオを見ていて気付いた事だが、前々から指摘されているように運足が小さい事がようやく自分の中で納得できた。以前までの私は「運足が大きければ逆に反応しにくいのではないか?」と思っていた。しかし実際にビデオを見てみると、運足が小さいほうが窮屈に見え、相手の動きに反応できても、自分から攻めるときには攻めにくい動きだと思った。また相手の動きに反応できても、中途半端な反応しか出来ないのではないだろうかと考える。
個人実戦でK選手と戦ったO君がこう言っていた。「彼の運足は水の様だ。こちらが攻撃を出せばその動きに反応し上に飛んだり、下に潜ったりして簡単に背後を取られ、知らない間に突かれていた。反応がとてつもなく早い。」と。私もこの試合を見ていたが、私が見ていて感じたことは、金子選手の運足は歩くような感じで出している様に見えた。
私は現主将(1999年現在)が考案したチャンバラソードなる練習法のおかげで結構反応力がついたと調子に乗っていた。しかし、上述した様に、運足は小さく、また下からの攻撃には何とか飛燕突きで反応できるものの、横や縦方向には余り反応できないでいる。
やはりこれから実戦で強くなっていくには、先ず運足を大きくし、先ほどのO君が言っていた様に、水の様な流れる運足を出せるようにならなければいけないだろう。そしてどのような方向からの技に対してもシッカリ素早く反応できる様に練習をしていかねばいけないと感じた。
今後の課題としては、
1、 先ず運足を歩くような感じで自然と大きく出せる様にする。
2、 どの方向からの攻撃に対しても素早く反応し、反撃できる様にする。
3、 自分から攻める様にし、技を単発で終わらすのではなく、連続で出せる様に 心がける。
以上のことを頭に入れて練習を行わなければならないだろう。
最後に、最近実戦で構えを解くなと開会式の時によく言われるが、技が決まって中央に戻る際に、技を決められた選手が両腕をダランと下げて戻っている選手がいたがこういう選手に注意を与え無い審判がいた。こう言うことはやはり注意すべきであろう。また、団体実戦で応援するのは構わないが、技ありを取ったり、勝ったりした時に大騒ぎするのは、個人的にはやめてほしい。確かに団体なのだから応援している方や選手は勝てば嬉しいだろうが、余りにも五月蝿すぎる。また試合に負けた団体の事を考えればこう言ったことはしないと考えるのだが。礼に始まって礼に終わるとよく言うが、武道を学ぶ者のはしくれなら、こう言う事も考えて然りではないだろうか。少し礼儀に欠けていると思われる。
ダラダラとつまらない事を書いてきたが、以上が今大会の実戦競技の感想である。
私は今大会の個人戦は個人法形競技に出させてもらった。
最近の傾向どうり、やはり一、二回戦は転体の法形で、三回戦が変体の法形、四回戦以降は自由と言ったものだった。
結果から言うと、不様に3−0で余裕の初戦敗退だった。
先ず私がこの法形競技に出場して思ったことは(初戦敗退にもかかわらず図に乗った事を言わせてもらうが)、確かに各選手とも技の切れ等は私と比べ物にならない程上手である。
しかし呼吸法や気合になると、おもわず、おや?っと考える部分があったのである。
先ず呼吸法であるが、各選手の考えや先生方の指導が色々あると考えるのだが、どう考えてもここで息を吐いたりするのはおかしいのではないかと言うのが多々あった。
例えば、側転斜状蹴りを出した後に前後に突きを出し、前転で突くと言う動作のところだが、通常は前転突きで息を吐くものだが、振り返っての前後の突きの動作で息を吐いている人が沢山見られた。
それから気合についてだが、何時も道場で聞いているT先生の気合と比較してみると、殆どの選手に全く気合が感じられ無かったのである。少しオカルト武術っぽくなるかもしれないが、やはりいくら綺麗な技を出せていても肝心の気合が無ければ意味が無いのではないかと考える。技が多少下手でも気合で相手を倒すぐらいシッカリ出ているほうが良いのではないかと私は考える。何故なら相手を倒す気も無いのに技を出しても技の練習にはならないだろうし、気合の練習にならないと考えるからだ。やはり技と気合が一致してこそ本物の技といえるのではないだろうか?
次に感じた事は殆どの選手が転体ばかりで、その他の法形がないがしろにされているような気がする。変体は三回戦で必要になってくるので少しはましと考えるのだが、変体の最後の動きの前蹴りからの海老蹴りの、前蹴りがシッカリ出来ていない選手がっけこう多く見られた。
例を挙げるならば、運体の三節一体や蹴り足の引きが私の目から見て不充分に見える選手が意外といた。
最後に最近の法形は転体ばかりで面白みが無く、技の上手い下手・気合の一致ではなく、縦方向の行きと帰りの運身の優劣で決まっているような気がする。確かに運身は大事だが、やはり私は技と気合の一致を重く見るべきだろうと考える。また、転体ばかりやっていると旋体や運体、捻体などの法形が苦手な人がこれからどんどん増えてくるのではないだろうかと考える。やはりまんべんなくやるべきなのではなかろうか。
以上が今大会の法形競技についての感想である。
今回私は5番の役割でこの展開競技に出場した。
何時も失敗しない最後の極技で失敗したのが悔やまれる。心の何処かに若しかすると、何時も失敗しないので油断があったのかもしれない。
得意なものほど失敗するというが、まさにその通りなのだと思った。今後は得意なものほど絶対に失敗しない様に練習していかなくてはいけないだろう。
今度は今大会の展開競技について書いていく。
やはり上位に上がっていくチームは極技はしっかりと行っていた。失敗は殆どなかった。上位に上がっていくにはこの極技を失敗なくしっかり出す必要はあるなと感じた。それから全体的な流れだが、速さを重視するよりかは、むしろ極技重視でゆっくりではないがあまり早くやっていない様に感じた。
どちらかと言うと我々の方は速さを重視して極技が弱くなっている傾向がある。これは私の個人的な意見だが、来年は少しぐらい遅くても極技を充分に出せるようにしてみても良いのではないだろうかと思っている。
以上が今大会の展開競技で私が感じたことである。
今大会で感じとここ言えば、本命の人物が殆ど決勝・三位決定戦まで上がってこなかったことが挙げられる。予想通り勝ち上がった人物と言えば、東京多摩地区のK選手だけであった。今大会は本命の人物はあまり活躍できなかった。と言うのが私の感想である。
それからこの全日本大会は学生大会と雰囲気が違うと言うことだ。学生大会は各大学の意地の張り合いの様に感じ、言葉は悪いが何かヤクザの抗争見たいな感じがして私はあまり好きではない。しかしこの全日本大会は和やかな雰囲気で、学生大会のように殺伐としていなくて私は好きである。
個人的意見としては、やはり試合は、学生大会のように殺伐としたものより全日本大会のような雰囲気の方が良いと思っている。
短いがこれで今大会の感想を終わる。
1999年12月 1日 作成