第34回全国学生躰道優勝大会
(2000/10/15実施 会場:東京武道館)
私は今大会で、幸運にも個人実戦で三位に入賞する事が出来た。学生生活最後の試合で良い結果が残せて良かったと考える。しかし今回も考える所が多々あったので、懲りずにまた書いてみる事にした。
今までの私は試合で負けて悔しかったのでよく審判の文句を言っていた。これはハッキリ言ってしまえば只の負けいぬの遠吠えにしか過ぎないのだが、今回ばかりは少し事情が違う。それはいつも上位に進出している関東方面の学生ですら、今回の審判のあり方に疑問の声があがっていた。そんな訳で、今回の実戦競技の感想は審判について書いてみる。
今回の実戦競技の審判は全く水平蹴りを取らなかった。事実、後からビデオ等で見た殆どの試合が、まるで審判が、水平蹴りは取らない!と言わんばかりに、水平蹴りを取らなかった(実際はそんな事はないが)。確かに水平蹴りは当たっているのかどうか、少々見分けがつき難い所がある。が、今回のような場合は少し酷すぎるのではないだろうか。何故なら、この感想を書いている本人も、実はかなりの数の水平蹴りを食らっていたからだ。
今回このような事が起きた原因としては、審判の質の低下にあるのではないかと考える。
何故その様に感じたかと言うと、去年のことになるが、私が団体実戦に出場し、団実二回戦の対戦相手に、私の旋状蹴りが綺麗に脇腹に当たり相手をKOした時、普通なら試合を中断させるはずが、全く何も無いまま時間が経過していき、そして暫くしてからようやく試合が中断され、私の一本勝ちが宣告された。しかしこの時の主審は一体何が決まったのわからず、何と副審に相談していたのだ!「おいおい、チョット待てよ。なんで主審やのに技を知らんねん。」その時そう言いそうになったが、何とか堪えてその試合は一応終わった。
これを読んでいる人の中で、そんな主審はいるはずが無いと反論するかも知れない。しかし、事実この時の主審は本当に何が決まったのかわからず、技の名称すら知らなかったのだ。 また、今回の試合でも、私が相手の斜状蹴りを食らい、少し遅れて飛燕突きで返す場面があったのだが、これはどう見ても相手の斜状蹴りが先に当たっているので、相手の斜状蹴りの有効が宣言されるはずが、何と私の飛燕突きが宣言されてしまった。しかしポイントはシッカリと相手側に示されたのでまだましだったが。斜状蹴りと飛燕突きを普通間違えるだろうか。
以上のような理由から私は審判の質が低下していると感じたのである。正確に選手の技の判断が出来る審判はいる。しかしこの数が圧倒的に少ないのではないだろうか。中には上記の様に、本当にこの人は審判なのだろかと思われる審判がいたりもするからだ。このような事が続くとなると学生と審判の間に溝が出来てしまい(実際にはかなりあると思われる。)、学生を卒業したら誰も続けないようになるのではないかと思われる。そしていつかは何らかの形で衝突が起こるのではないかと不安に考える。
話しは変わるが、今回の女子団実での捻体胴絡みからの投げは、素晴らしいの一言に尽きるだろう。あの胴絡みに行く時のタイミングは絶妙で大変参考になった。この試合をきっかけに、これからドンドン捻技が女子実戦に現れてくればと考える。
今回の法形競技も、やはりと言うか、転体以外の形ははまるで出来ていない選手が目立った。決勝戦等までに進出している選手はともかく、殆どの選手が二段蹴りや、変体の法形の中に出てくる、伏敵からの蹴り突きがまともに出来ていなかった。酷いのになると蹴りが出ていない選手もいた。やはりこれは転体一辺倒の弊害が出ているとしか言いようがない。
躰道で転体を重要視するのは理解できるが、そのせいで他の動きに支障が出ていては意味がないのではないだろうか。また、法形の試合形式もそろそろ変更して行く必要があるのではないだろうか。あれだけ実戦の試合形式を変更しているにもかかわらず、法形競技は全くもって大幅な変更がない。いつまで経っても転体重視の傾向が強い。これでは他の形に弊害が出てきてもおかしくはないだろう。逆にいえば、今の弊害は成るべくして成ったと言えよう。
躰道をやるにあたって、黒帯にでもなればバク転バク宙が出来て当たり前の筈が、何故法形競技になると加点されるのであろうか。また、バク転よりもバク宙の方が加点の対象は大きいが、如何なる理由でバク宙の方が点数が高いのであろうか。そして捻宙転(俗に言うバク宙捻り)だが、これをやろうとして失敗してよく尻餅をついている人がいるが、実戦的に考えるならばこれは確実に死を意味している筈なのだが、平然と審判はこれに加点を加えている。私の考えではこれは少しおかしい。そして、そのせいで今の法形競技は、失礼かもしれないが、基本技が適当でも、捻宙転がそれなりに出来れば、法形競技は上位に進出できる風潮が見受けられる。法形競技を運身の出来ばえだけで判断するのはどうかと考える。これがこれからもずっと続くとなると、ますます転技以外の基本技が低下し、ひいては学生躰道の質が低下する危険性があるのではないだろうか。
これを防ぐにはやはり法形競技の試合形式を大幅に変更するしかないと考える。
現段階の法形競技の問題点としては、極端に言えば運身の出来・不出来で優劣が決まってしまうのだ。だから私は、今の運身の加点を無くして、どの法形であろうと平等にすべきだと考える。何故その様にするのかと言うと、今の法形競技の加点方法では、運身の無い法形はどうしても勝ちあがる事は出来ないからだ。例えば、ある選手が運体の法形をし、もう一人の選手が転体をやったとして、この二選手の基本技のレベルが全く同一であった場合、今の試合形式では100%転体の法形を行った選手が勝ってしまう。これでは他の法形の発展はありえない。その理由は、転体以外の法形は審査の時以外ないがしろにされるからだ。
また、三回戦以降男子は体、女子は陰の中から自由となっているが、殆どの選手が転を指定し、他の法形はまったく選んでいない。これでは自由の意味がまるで無い。折角自由になっているのだから、やはり私個人的には旋や運もやって欲しい。そうすれば試合に出場できない下級生にも凄く参考になる筈だからだ。勝つ為だけに法形をやるのではなく、見学している者にも参考になる法形を今後は行っていかねばならないと考える。
最後に、転体ばかりでは見る側も飽きてくるし、面白みが無い。正直つまらないのである。是非とも素晴らしい転以外の法形を見てみたい。
何と今回はビデオテープに展開競技が入っていなかった!そんな訳で、今回の展開競技の感想は書けなくなってしまった。残念だ…。
今大会はついに私の学生生活最後の試合になった。そして運良く個人実戦競技で三位になることが出来た。今まで辛い事や苦しい事も沢山会った。時にはクラブを辞めようかと本気で思った事もあった。しかし何とかそれを踏ん張って、今まで頑張って来て本当に良かったと心から考える。
最後に、今まで自分の練習に付き合ってくれた先輩、後輩に、この場を借りて心からお礼申し上げます。本当に有難う御座いました。