第36回全日本躰道選手権大会 2002/11/23、24
初めに
今回は試合4日前に左太腿を痛めてしまったので、参加できるかどうか不安だった。結局怪我は治らなかったが何とか動けるまでには回復していたので試合に出場する事は出来た。
今回は怪我した足でどのように戦うかが課題となったといえるだろう。
実戦
今回の実戦競技はいつも以上に疑問が残る酷いものだった。何が一番気になったかと言えば審判の判定の下手さだ。例えば、完全に技を躱しているのに技有りを取ったり、かすっただけの技で一本になったりと、私が今まで見てきた中で一番酷いものだった。実際に私も個人、団体と出場したのだが、個人一回戦で相手選手の有効打を数発もらったのだが、審判は全く反応していなかった。代わりに私のたいしたことのない水平蹴りを有効として取ったのである。
これでは選手は納得しないし、出来ないだろう。勝った方にしても後味の良くないものになってしまう。実際私は良い気分ではなかった。
次に気になった事は、殆どの選手の運足がフットワークのような動きになっている事だった(別にフットワークの技術を悪く言っているのではないのであしからず)。私ならすぐに運足注意を与えるだろう。もっと酷かったのは手だけ構えて完全に歩いている選手がいた。しかし審判はこれを注意もしなかった。こうなってくると一体審判は何を見ているのだろうかと考えざるを得ないし、審判は馬鹿にされても文句が言えないのではないだろうか。そして今後こういった事が続いて行くと誰も審判を信用しなくなるだろうと考えられる。
次は選手の限角についてである。ルールに則れば、運身で移動する側の人間は相手が一定の点を踏んでからしか運身移動してはいけないのに、開始が告げられるや、いきなり自分から走り出して移動している選手が大勢見うけられた。勿論審判は注意をしない。そして運身が成功した選手に有効を与えていた。本当に何を考えているのだろうか。こうなってくると審判は実はルールを知らないのではないかと言いたくなる。
最後に、試合に勝って嬉しいのは理解できるが、自分から勝手に正座して待ったり、コート内で大きなガッツポーズを取るのは見ていて腹が立つ。よく武道では「礼に始まり礼に終わる」という言葉があるが、この言葉を借りたならそのような行為は相手に対して甚だ失礼だと考えて欲しい。相手がいるからこそ自分の試したい技等が出来るのであって、それを忘れて浮かれているようでは躰道の理念である調和もへったくれも無いのではないだろうか。もっと相手選手に思い遣りを持ち敬意を払うべきだ。勝ってはしゃぎたいのであれば最低赤畳みを出てからやってもらいたいものである。
法形
法形の稽古を励んでいる人には失礼かもしれないが、いい加減見飽きてしまった。気になる箇所は前から書いていることと同じだからだ。もっと他の法形もするべきだと私は考える。どうも転技重視の傾向がこのような事態を招いているのではないかと考えてしまう。そして、転体の法形を見ていて気になる事は、二段蹴りはいつもの事だが、高度な運身を要求される為に他の技が疎かになっているのではないだろうかと言う事である。
躰道は殆どの人が大学の倶楽部から始めると思う。だからそれまでバク転、バク宙をしたことがない人間が殆どのはずである。出来る人はすぐに出来るが、たいていはバク転バグ宙のどちらかが出来るまではそれなりの時間が必用になってくる。実際私もバク転が出来るまで半年時間が掛かった。それに加え、更に高度なものを要求されてはどうしても他のものの稽古時間を削らなければならない事になってくるだろう。それにより他の技の稽古が疎かになり突き蹴りが下手になるのではないかと思う。ましてや学生の場合、結果を残さなければいけないので余計に負担がきつくなると思われる。
運身は大事だが最近の躰道は運身に振り回されているような気がする。この様に考えるのは私だけだろうか。 最後に、子供が二段蹴りが出来て大人が出来ないのはいかがなものかと思った。
展開
法形の所でも書いたが、これもどちらかと言えば運身重視の見た目重視になっていると感じられる。私も学生の頃は見た目が派手な事をすれば、審判の得点が高く上位に進めるから、現実的ではなくとも格好よければそれでいいと考えていた。人によって捉え方は様々だから、見た目が良ければそれで良いという人もあるだろう。私はそれはそれで構わないと思し、武道云々を除けばやっている事は凄い事なのだからそれで結構だと思う。
しかし、武道と言うもので見た場合どうしても疑問が出てくる。例えば最後に首捻技やバク宙で相手の攻撃を躱して止めをさしたりしているが、これが実際に実戦で使用されているだろうか。試しにやってみようとしてもほぼ無理だと思う。また、本当に技が決まっているのかどうかも疑わしい所だ。演武なのだからそれでもいいだろうと言う人もいるだろう。私も演武なら別にそれで構わない。しかしこれではいつまで経っても展開で次の技の段階に繋げる事は不可能ではないだろうか。これは私の考えだが、審判だけしか展開の採点方法を知らない事に問題の一つがあると思う。選手自身が採点方法を知っていたら、こうすれば良くなる、悪くなると考え、もっといいものが出来ると思うからだ。
最後に、展開で行った技を実戦で出来ないのならば展開という稽古方法の意味が無くなってしまう危険性があると私は考える。
終わりに
今回は足を怪我して出場した訳ではあるが、一応自分が道場で稽古していたことが少しだけ出来たので結果としては半分良いものだった。しかし残り半分は何時も通り審判に対する不満で釈然とはしなかった。
所で、今回の最優秀選手はM君だったが、自分としてはN君にこの賞を上げたい気持ちだ。靭帯損傷という重症を負って個実三位、個法四位という素晴らしい成績を残したからだ。足の事が気になるが来年も必ず出場して欲しい。そして今度は彼に負けた仮を返したいものだ。
最後に、この感想を書いていて自分の文章能力の無さを改めて痛感している。可笑しな所があれば遠慮無く掲示板や手紙で意見を書いて下さい。
2002/11/28 (木)作成