親善試合、世界大会についての感想
(2001年八月四・五日実施)
始めに 1、実戦教義 2、法形教義 3、展開競技 終わりに
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どう言う訳か知らないが、何と世界大会に出場する事になった。出場枠は団体実戦競技で、日本Dチームに選ばれていた。選ばれた時に家に誓約書が送られてきたが、その時考えた事はえらい仰々しいなと(笑)。
そして今大会の開催地は沖縄だった。沖縄と言えば空手発祥の地だが、そんな事はあんまり考えずに、兎に角海が綺麗だと聞いていたので、試合が終わったら海水浴で遊べそうなどとしょうもない事を考えながら沖縄に出発した。果たして外国人の躰道は如何様なものだったのか!?
今回の実戦競技を見ていて先ず感じたことは、捻技をしない、これだ。当然反論があるかもしれないが、少なくとも私の見ていた試合では殆どの選手が使っていなかった。お互いが何か技を出して接近した後、確実に捻技の間合に入っているのに捻技を仕掛けず、大体運足を使って元の間合に戻していた。
何故捻技をしないのか。捻技は苦手なのだろうか。確かに捻技は難しい。失敗したら大体反撃を食らってやられてしまう。しかし失敗を恐れていてはいけないのではないだろうか。試合に勝ちたい気持ちはわからないでもないが、試合は試し合いなのだからもっと積極的に捻技を仕掛けて欲しい。
第二は側転からの蹴りや斜状蹴りばかりが目立つ事だった。極端に言えばそれだけになっていると言う事だ。そして誰もそれを飛んで躱して飛燕突き等を決めようとするのが見られなかった。ここでそんな事はない、ちゃんと真上に飛んで躱している選手もいたではないか、と言う人もいるだろう。確かに真上に飛んでいる人はいた。しかし斜め前に飛んで躱している選手はいただろうか。いなかった筈だ。どうして斜め前に飛ばないのか。斜状蹴りを中心に攻めてくる相手にこれほど有効な反撃技もないのに、である。
第三はいつも書いている事だが、やはり水平蹴りはポイントを取らない。私が見てきた中では、私が出場した最後の試合で一度だけ取っただけだった。残りの試合は当たっても全くポイントを取っていなかった。何故水平蹴りはこうもポイントを取らないのだろうか。審判は水平蹴りが嫌いなのか、と言いたくなってしまう。こんな事をやっているとしまいに誰も使わなくなってしまうのではないだろうか。そんな気がしてならない。
第四に、今回の試合を見ていて感じた事は、実戦競技はどうも単調になってきているのではないか、という事だった。上述したように、殆どの選手が同じ技しか使わない、からかもしれない。これでは実戦競技は形骸化してきている、と言わざるを得なくなってしまうだろう。
最後に、今回私は外国人の方と初めて試合をしたが、やはり手足が長い、と言うのが素直な感想だ。しかしこちらが懐に入り込めば特に問題はないと感じた。向こうは逆に近すぎてやり難いのではないかと思う。そして次に感じた事は、実戦が以外と普通だった。噂では力任せに技を放ってくると聞いていたのだが、そんな事は全くなかった。いつも道場でやっているのと変わらない気がした。それから、外国人の方は以外と(失礼)礼儀正しかった。試合が終わった後握手をしたのだが、勝っても負けても心が清々しかった。文字通り試し合いをしている気分になれた。今回実戦競技を通じて得られたものは、これが一番価値があると考えている。またいつか外国の方と試合をしたいものだ。
今回私は親善試合の社会人の部で出場する予定だった。しかし世界大会に出る人間は出られないとの事なので諦めていたのだが、意外な展開が待っていた。
それは一体何かと言うと、何と学生の部で出場する事になってしまったのだ!多分これは今回の試合の中で一番の珍事だろう。何故なら私はもう学生ではないし、院生でもない。職が決まっていない只の無職(20001/8/23、現在)の人間だからだ。たぶん大会実行委員の方は気づいていないだろう。気づいていれば名前を削除したと思う。
兎に角この珍事のおかげで?法形競技に出場する事が出来たのは嬉しかった。しかし一回戦は一体何の法形をやればよいのか全然わからなかったので、隣にいた和歌山のA君に、「指定の法形は何なん?」と聞いてみたのだが、A君も知らなかったらしい。そこで私はこうなれば別に初戦(実は何故かシードだった。なんでや!?)で負けても構わないので、絶対誰もやらないであろう(実際私しかやらなかった)運体をする事に決めた。で結果はどうなったかと言うと、二対一で、何と勝ってしまった。ビデオに撮っていないので自分や相手がどんな動きをしていたのかよくわからないが、二段蹴りが良い感じで出せたので、これが審判に受けたのだと勝手に解釈しておこう。
次の相手はB君だった。彼は優勝候補の一人なので到底私などが勝てる筈もなく三対零で呆気なく負けた。因みにこの時演じた形は旋体だった。見ていた人殆どが何故旋体をするのかと思ったに違いない。しかしこれは意味もなくやったのではない事をここに書いておきたい。理由は、最近の躰道の大きい大会の(例:全日本等)法形競技は転・変・捻、この三種類の法形しかやっていないからだ。他の試合の事はわからないので何とも言えないが、少なくとも全国規模ではそうだろう。だから敢えてこの二つを演じたのである。これからも機会があればどんどんやっていきたいと考えている。余談だが、最後に気合を出した時に拍手をしてくれた皆さん、どうも有り難うございました。嬉しく感じました。
さて、ここからいつも通りに疑問を書きたい。先ず、何故殆どの選手が変・捻・転、この三つにこだわるのか。私には理解出来ない。転は法形の中で一番難度が高いと聞いた事があるが、私は必ずしもそうとは考えない。例えば運身が得意でも、二連旋体や運体蹴り突きが苦手なら旋体や運体の方が転よりはるかに難度が高い筈だ。人によって得手不得手があるのだから、法形の中で転が一番難しいと決めてしまうのは間違っているのではないだろうか。因みに私の場合は旋体が一番難度が高い、その中でニ連旋体が一番難しく感じる。
また、どうしても納得がいかないものの中に、蹴り足の高さ、がある。これはどう言う事かと言うと、何度も他の感想の中に書いているが、どうも蹴り足が低く見えてしまうのである。二段蹴りの場合なら足が腹や胸の辺りまでしかあがっていないのである。もっと頭の方まで上がらないのか。しかしこれはまだましな方で、酷い場合になると蹴れていない時があり、また、黒帯にもかかわらず変の縦の所で足と肘ががら空きの選手も何名かいた。これはかなり問題があると思うのだがどうだろうか。
以上が今回の法形競技を見て感じた事である。
不思議な事に今回の展開競技はかんそうが書けない。何も感じないからだ。これは私が展開競技に出ていないからだろうか。誰か今回の展開競技について感想がある人は是非とも書いて私宛てに手紙を出して欲しい。公開してもよいなら代理公開の場で公開したい。
今回の試合会場は沖縄と言う事もあり、当日はかなり暑くなるだろうと予想していたが案外そうでもなかった。むしろ道場で練習している時の方が暑かった。今回の試合の雰囲気はとても良い雰囲気に感じた。只、敢えて言うなら外国人の応援は少し派手かなと思った。朝が早かったので何度か眠くなったのだが、この応援のおかげで何度も目が覚めた(笑)。自国の選手が勝つと異常に盛り上がっていた。まぁこれは考えの違いなので特にこれと言うほどの事はない。
そんなことより今大会で一番の疑問だったのが、昨年の学生大会、全日本大会の実戦・法形競技の優勝者が出場していない事が不思議で仕方がなかった。何故出場していないのか全くわからない。もし知っている人がいるなら是非とも教えて欲しい。
最後に、今回私は和歌山の人達と一緒に行動させてもらった。出発の日に遅刻してしまい御迷惑をおかけしました。申し訳ございませんでした。また、色々とご好意に甘えさせてもらいお世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。
2001/08/21 (火) 作成